3月デモ公開編
1992年・春
92年はいろいろなことがあった。アストロライナーは91年秋に完成したのだ
けれども、本格的に公開したのは92年になってからのことだった。そこで、波乱
に満ちた(すこしオーバー)92年の我がプラネタリウム公開報告をすることにし
たい。
最初は調整のついでの公開・・のつもり
92年。プラネがひとまず完成をみてから一段落したこの年は、移動公演など
、いろいろな面で多忙かつ波乱含みの年だった。この年の活動の滑り出しは3月1
日から8日にかけて日大生産工の体育館でのデモ公開。学祭でもない、春休み でキャンパスには学生もまばらなこの中途半端な時期に、なぜ公開なんぞしたか
と言えば、もともと投影機本体の点検や調整をきっちりやっておきたかったから
だ。昨年11月の初公開では、投影機を完成させるのがやっとで、細かいところで
はいろいろ調整の不備が目立っていた。ブライトスター(明るい1等星を投影す
る補助投影機)なんぞ、実はてんででたらめな方向を向いていていて、お客さん
に指摘された恥ずかしい記憶もある。恒星投影機のレンズ調整もまだちゃんとや
っていない。ところがプラネタリウムの調整は、実際にドームに投影してみない
とできない。ゆっくり調整に充てられる機会が欲しいということで、1週間の間
、大学の体育館を借り切ることにした。そのうちどうせドームを膨らまして投影
するんだったら公開もしようということになった。だから、最初は正直なところ
客の入り具合はほとんどあてにはしていなかった。
初公開の苦い教訓を生かせ!
11月以来、投影機は学生課が便宜をはかって確保してくれた学生相談室に置
いたままで、新聞の取材で撮影した時を除けば手を触れられることもなく、いわ
ば放置状態だった。一方、ソフトウエアや自宅に移しておいた電気系の装置類は
、整備のための準備時間が十分だったこともあり、作業も的確に落ち着いてでき
た。
体育館控え室で試運転を待つコンソールと制御システム(システム1)
コンソールは機械式の経緯度、日時表示メーターを備え、コンピュータ支援
によるセミオート運転、連動調光などの機能が実現されていた。
|
そこは昨年11月の初公開前のせっぱつまった状況と一番違うところだろう。 初公開でトラブルを起こして投影開始遅れの原因となった、インターフェース基
板を作り直して、コンピュータの制御プログラムも入念に点検し、当日の操作能
率を上げるためのユーテリテイプログラムを数多く作っておいた。前回の反省か
ら行った入念な下準備だ。
機材の輸送でも今回は慎重だった。高速道路の渋滞に泣かされた苦い経験を
生かし、今回は輸送時間に1日余裕をみて、時間は交通量の少ない深夜を選んだ
。まだ夜も明けぬ眠い時間帯なのに、同級の秋田君に車を運転してもらい(僕は
運転免許を持っていなかった)、自宅に移してあったコンピュータや音響機材な
どを再び大学に運び込んだ。
本体投影機を会場の体育館に運びこむところ。
80kgの本体を3人がかりで慎重に持ち上げる。
|
まずは宣伝から・・・
そして前回と違って重要なのは宣伝である。自然に人が集まる学祭とは違っ
て、今回は単独公演なのだ。春休みのキャンパス内は驚くほど閑散としている。
こんな状況で本当に客は入るのだろうか。ここで世界一(星の数では)のプラネ
のありがたい公開があるということを、近隣住民ならびに全国のプラネファン(
?)方々にお知らせしなければならない(?)。
宣伝といえば第一にポスターである。そこでA3判の宣伝ポスターを作成し、
大学の学生課がたくさんカラーコピーしてくれた。それを持って大学前の大久保
商店街をまわり、本屋やコンビニ、ファーストフード店、郵便局などにお願いし
てポスターを貼らせてもらいに回った。うーん地味な広報活動である。いきなり
外回りをさせられる新米セールスマンの心持ちである。
宣伝といえば第二に看板である。西川さんといっしょに巨大な立て看板を作
り、大学の正門前にでーんと掲げた。「毘沙門天もびっくり!世界一のプラネタ
リウム!」。よく分からない宣伝文句だがなんと堂々としたことか。
そして第三はマスコミである。テレビ各局CMで毎日10回ほど放映・・・とは
いかないのが残念だが、ちょうど前回11月の公開を取材した天文雑誌「スカイ
ウオッチャー」の4ページにわたる特設記事の号が発売前。編集部に急ぎ電話し
て、印刷直前の滑り込みセーフで欄外ながら宣伝文を載せてもらうことができた
。うれしいことに、天文誌「月刊天文」まで取材に来て、やはり公開の宣伝がで
きた。とにかくなすべきこと、できることはすべてやった。これで客がこなかっ
たら諦めるしかないだろう。
2月28日 アストロライナー再び始動
ドームを広げるところ。折り畳んだドーム
を体育館に運びこんでから、数人がかりでひ
ろげ、空気を送りこむところ。
|
さていよいよ公開前日。準備万端、機材はすべてスタンバイOk。残るは動作
テストだ。しかし投影機やコンソールは半年間通電さえしていない。電源を入れ
るのが恐いが、ここでビビってもしかたがない。通電・・心配をよそにすべては
正常だった。とにかく前回からは考えられない段取りの良さである。ほかの準備
作業もすべて順調に進んだ。 準備作業の第一段階は、キャンパス内にあるプレ
ハブから折り畳まれたドームを運搬すること。重たいが、台車を使ったのと人数
が多いのとで、前回に比べるとはるかに楽チンである。スタッフの顔には笑みさ
え浮かぶ。この余裕!
3月1日(公開初日)
いよいよ公開初日だ。案の定というべきか、観客は数えるほど。まあ初日だ
からしかたないともいえるが、日曜なのにこれでは先が思いやられる。こんなも
のか・・・やはりポスター貼っても厳しかったか・・まあもともと調整が目的で
始めた公開なのだからいいやと自分に納得させる。まあ、投影機は順調そのもの
で、客が少なくて寂しいのを除けば、まったく問題はなかった。
8日までの8日間にわたる公開日程のうち、1日と8日は午前10時から午後5時
までのフル公開。しかし間2日から7日までの平日は午後2時からにして、午前中
は本来の目的だった投影機の点検整備にあてる。32面の原板の微妙な位置合わせ
、ブライトスターの向き、光線もれなどのチェックなどを行うわけだ。
2日以降の平日は、朝11頃に来て、まず機械整備をして、午後2時から作
業を中断して一般公開し(お客が来れば)、5時に公開が終わると再び作業再開
というわけだ。それにしても作業は星を映しながら行うので当然真っ暗。星図を
懐中電灯で照らして見ながらの地味で根気の要る作業だが、高校時代の後輩の金
沢君がほとんど毎日来てサポートしてくれたおかげで、とてもはかどった。
立役者
観覧後に出口で感想ノートに記入する観客
暖かい感想をいただくと、プラネをやってて
本当に良かったと思う
|
それにしても今回の立役者と言ってあげたい金沢君。調整作業だけではなく
何かと周辺の、僕が気がつかないところで支えてくれている有り難い助っ人であ
る。作業で手が空くと、西川さんが持ってきていたホームビデオで作業風景を撮
影したり、(場面ごとに入るあいつのコメントがまたイイ)、取材にやってきた
テレビ記者に、このホームビデオ片手に逆インタビューをしたりするちゃめっ気
の持ち主だ。観客の誘導だとか、感想ノートにコメントをしたりとか、いろいろ
やってくれた。最近ご無沙汰してるけど、元気にしてるだろうか。
マスコミ殺到(?)で思わぬ大反響
さて、今回はやたら取材が多かったのが印象に残る。11月の初公開、そして
「3月に再び公開」の情報が新聞などで報じられたのが情報源になったのだろう
。奇妙な自作プラネタリウムを記事にと新聞、テレビ、広報誌、はてまた写真週
刊誌までがやってきた。予想外の反響に喜ぶが、同時にやや戸惑いも隠せない。
特に効果絶大だったのはNHKテレビだった。翌朝のニュース枠で放映されるや
いなや、大学の学生課などに問い合わせが殺到。観客がどっとつめかけ、席をあ
りったけつめても入りきれずに次回待ちまで出る始末。昨日までの閑古鳥はどこ
へ・・? たかが1分そこそこの扱いなのに、テレビの威力をかいまみた思いだ
った。
今回はマスコミ取材が10件以上、対応だけでも大変だった
これは、写真週刊誌「FOCUS」にFOCUSされてしまった記事
Copyright(C)新潮社 Photo 田中和義氏(Focus)
|
テレビの余波で観客が増えて公開は俄然活気を帯びてきた。もともと調 整を目的で始めた公開ではあったけれど、もやはり観客がたくさん入ると嬉しい
もの。自然と解説にも熱が入る。急増した観客と、大学の教職員に対応するため
、 学生課からの要請もあって平日の昼に臨時投影を行った。学内放送でアナウン
スされ、教職員も多く来るようになった。いけいけムードでラストの8日まで押
し切った形で投影は無事終わり、めでたし、めでたしなのでありました。
3月公開その他の一コマ
エアロック通風
出入り口のエアロック(白い部分)をとりつけた
あと、圧をかけてふくらましたところです
|
今回の立役者、金沢君
コンソールに座る金沢君(右)と大平(左)
机の上がかなり散らかってます
|
ドームの下敷きになる投影機
夜間は、ドームの送風を切らなければならない
投影機を真ん中に据えたまま、ドームの空気を
抜くと、こんな風になってしまいます。
投影機は大丈夫かなあ
|
陽気な内野君
高校時代の投影機から何かとかかわってきた
内野君です。大学院では同じ学科になるし、
本当に腐れ縁・・
|
ドームを広げる前に、エアロックを新しいもの
に交換する作業をしています。思いのほか粘着
テープの付きが悪く、みんなであーでもないこ
うでもないと方法を考えています。
|
|