IPSモントリオール大会その1

さて、全国1億3千万のプラネタリウムファンの皆様こんばんは。
大変お待たせ致しました。20世紀最後のビッグイベント、7月9日〜13日の会期で開催されました、IPSモントリオール大会の参加レポートを,豪華写真アルバムとともにお送り致します。
 

IPSとは?

International Planetarium Society、すなわち国際プラネタリウム協会だ。世界各国には大小合わせて数千ものプラネタリウム館が存在し、それぞれの地域で地元の人々に星空を見せ、天文と宇宙について紹介しつづけている。これらプラネタリウム館同士が連携しあい、情報交換を行うことで、プラネタリウムそのものの質をより高めていこう、という目的で運営される世界規模の団体、それがIPSなのだ。2年に一回ずつ、世界各地のプラネタリウム館をホストにして総会(Conference)を開催、会員が一同に会して、研究発表や討論、見学などを行っている。また、会誌Planetarianも発行している。
 
 

モントリオール大会

さて、私にとって記憶に新しいのは一昨年、つまり前回のロンドン大会。ここで、私は現在製作中のの最新投影機MEGASTAR(当時はASTROLINER-2と呼んでいた)を発表した。それも、資料だけでなく、実物を会場に持ち込んで、ドームに投影して見せたのである。<BR>
 その反響は想像を超えるものだった。狭いドームに大勢がつめかけ、アンコールの声で一回だけの予定が計3回に延長された。そして、今までにないコンセプトは世界じゅうの多くの人に理解されたのだった。
 それから2年。プラネタリウム界の最新のトレンドを探るため、また新たな成果を発表するために私は再びIPSに参加することにした。ロンドン以降、大幅に性能向上したMEGASTARの再現力、そして本体だけでなく、周辺機器とシステムを紹介、当初の予定からは大幅に遅れながらも、いよいよ完成間近であることを知らせることにしたのだ。
 

準備と今回の発表

今回は、実機デモを予定していなかったこともあり、前回のロンドン大会に比べると比較にならないほど楽だった。事実上、準備のためにやったことは会報への論文と発表ポスターの作成だ。発表は口頭とポスターのどちらかに迷ったが、今回は派手さよりもより多くの人に見てもらいたいという思いから(多くの人が興味を持ちながら見逃した前回のロンドン発表の反省もある)、3日間まるまる掲載され、見たい人には確実に見てもらうことのできるポスターを選んだのだった。発表練習が要らず、質疑応答対策(英語だから)も悩まないで済むことも一端にはあった。MEGASTARの製作が遅れ、完成期限も定まってきた状況で、IPSといえども、そう多くの時間と労力を割くことはできなくなっていたのだ。
 今回の目玉は、改良原板で投影された星空である。ロンドン当時、いろいろな問題が残っていた原板の製造方法を1年かけて研究しなおし、材料、工程、検査に至るまで大幅に改良した。その成果はすでに当サイトではトップページでおなじみであるし、国内では99年のJPS(日本プラネタリウム協会)山梨大会でも発表したのだが、海外向けには今回が初めてとなる。ポスターの目玉として大きく掲載することにした。
 そしてもう一つの目玉は周辺システムだ。開発中の惑星投影機、コンソール、照明システムなど。主なトピックは次のようになる。

・ポータブル、1ボックス型の惑星投影機群
6台(最終的に8台)の惑星、太陽、月投影機が1つの携帯式ボックスに納められた新太陽系投影機。駆動メカ、光学系も小型、コンパクト化されている

・GUIコンソール
Windowsベースのリアルタイムシミュレート型コンソール。まるでパソコン天文シミュレータ感覚で、MEGASTARを操作できる。

・ワールドワイド型電源
世界各国電源電圧に対応するワールドワイド型電源。新開発のアクティブフィルター型高調波抑制回路を備え、日本、北米はもちろん、アジア、欧州での使用も可能。

・全固体照明システム
従来の白熱灯に代わり、高輝度GaN(窒化ガリウム)系LEDを全面使用した全固体照明及び薄明投影装置。鮮やかな色表現力とマルチパターン表現、高効率、メンテナンスフリーという特長を備える。プラネタリウム用として世界初であるだけでなく、照明界でもLEDの一般の照明光源への応用が検討されている中で、先端的な実用事例となる。
 

CONFERENCE

今回はアメリカ大陸東海岸のモントリオール。前回のロンドンよりもさらに遠い。飛行機で通算13〜14時間。日本からの直行便はなく、私はシカゴ経由でモントリオール入りした。旅馴れしていない私、着いたころにはヘロヘロである。
 会場のクイーン・エリザベスホテルで他の日本人参加者の方々と合流。日本でお会いした方もいれば、ロンドン以降御無沙汰していた方もいる。残念ながら今回、私の乗った便は夕方着で、その日に開催されたパーティには参加できなかった。
翌日のオープニングセレモニーからの参加になった。
 

時差がきつい

 何しろ時差ぼけで眠いのである。何しろ時差は11時間。ほとんど昼夜逆転である上、ずれ方からいって、現地で無性に眠くなるのがアメリカ・カナダの通例なのだ。夜中は何とか眠れるが、昼間も眠い。ようするに1日中眠いってことらしい。オープニングセレモニーで、天文教育の講演を聞くが、英語でよく分からないし、暗いしで、とにかく眠い。シカゴのプリコンファレンスツアーに参加し、すでに時差ぼけを解消しつつある方が多い中で、早くも私はグロッキーなのだった。
 
 

発表

ポスターを掲載し、周りを見てみると、人がまばらである。ほかのポスターも、貼られていないものがあったりして、どうにも、ポスター発表、思ったより地味だなと感じる。一方、口頭発表は参加者が集まり、熱心に聞き入っている。これは失敗したななどと思う。しかし、口頭発表タイムが終わると状況は一変。ポスター発表会場に大勢の人々が流れ込んできて、しじゅう説明させられることになった。
 

合成写真?

 さて、フタをあけてみると、ロンドン発表のことを覚えている人が多いのに驚いた。今回もデモ機を持ってきているかと聞かれることが多く、ないと答えると残念がられた。やはり実物のあるなしは大きい。しかしそれは仕方のないことである。
 さて、ウリのはずの投影写真。これの反応が今一つさえない。こういうものはウケないのかな、などと弱気になっていると、ある一つのことが判明したのだった。多くの人は、この投影写真を実写ではなく、実写の天体写真との合成写真と勘違いしていることが判明したのだ!

つづく 


 

ポスター発表及びベンダーデモ会場。左手にミノルタやオムニスキャンのブース。奥にはStarlabのポータブルエアドームが見える。

ポスター発表掲示板。ちょうど私のところにお客さんが来ている。説明に行かなくちゃ。"May I help you?"でいいんだっけ・・

発表会場その3 ツアイスやE&Sのブース

スカイスキャンの全天球CGシステム。SKYVISIONのデモ。毎回熱心なデモをしている会社だ。

今回モントリオールに同行した一人、湘南台文化センターの船山さんの発表現場。緊張が伝わってくる。でも英語は非常にきれいだった。お疲れ様。

会場にはときおり子供の姿も・・特に欧米では、家族連れで参加する人も多いのだ。

STARLABの移動式プラネタリウム用エアドーム。直径5メートル。私のエアドームと原理は同じ。ポータブル式としては定番的存在だ。

昼食の席で、日本人参加者たちと。

私の発表ポスター。1m角で、出力センターで印刷してもらったもの。左上の、これが合成写真でないことを示す注釈に注目。

私の隣に掲示されていた、大阪市科学館の渡部義弥さんのポスター。星空の連帯というタイトル。顔写真をつけるアイディアは頂きたかった。

カナダの女性宇宙飛行士Julie Payetteさんの特別講演。フライトのエピソード、そして宇宙から見たさまざまな地域を見た様子を写真を交えて紹介してくれた。

夕方のスペシャルプレゼンテーションは、近くのモントリオール・プラネタリウムで行われた。今回の総会のホスト館でもある。

モントリオール・プラネタリウムの投影機は渋谷五島のものと同じツアイス4型。ただし架台部などこちらのほうが少し新しい型になっている。

夜中はバーで飲み会。IPS会長のデール・スミス氏(右)と私(左)。スミス氏には今回、発表などの面でお世話になった。また、有数の木星観測者でもある。

IPS前会長。トーマス・クラウペ氏と晩餐会で乾杯。前回のロンドン大会でもお世話になった人。若若しく陽気でな人だ。自宅の音響趣味はものすごいらしい。

ホテル近くのモントリオール市街。青空にビルが映える。近代的建築と伝統的建築、そして済んだ青空が微妙なマッチングを見せる美しい街だ。

モントリオール市街その2