2008年3月24日
メガスターのデジタル化へ。JAXA共同研究成果を発表
JAXA産学官連携シンポジウムにて、オートジオメトリ&天体画像サーバ

大平技研は、光学式プラネタリウム「メガスターII」に、デジタルプラネタリウム機能を連動させる新技術を開発、坂戸児童センター内プラネタリウムドームにて実証テストを実施、3月21日にグランキューブ大阪で開催されたJAXA産学官連携シンポジウム「くらしのなかの宇宙ブランド」で発表した。

今回発表した主な成果は、光学式プラネタリウムとデジタルプラネタリウムを自動的に連動させる技術「オートジオメトリ」技術および、ネットワーク上に設置した天体画像サーバとの連携システムである。

オートジオメトリは、メガスター(光学式プラネタリウム)を、学習投影や科学教育、エンターテインメントに向けた応用の拡大のために開発された。光学式プラネタリウムにとデジタル画像(デジタルプラネタリウム)を加えるハイブリッド化の際に、従来、数日単位の時間を要していた設置調整を、メガスター本体に搭載したレーザキャリブレータにより完全自動で数十分程度に短縮する革新技術である。また、運用中のプロジェクターの経年変化、保守等によるずれも短時間で補正でき、運用性の高いシステムを構築できる。また、プラネタリウム本体が必ずしもドーム球心になくても、常に高精度の連動ができる特長も有する。また、将来的にはエアドームなどの不安定なドームでもスクリーン変形を動的に検出、補正することにより、両者の精密連動が可能となる(ダイナミックキャリブレーション)。
オートジオメトリ実施イメージ図

天体画像サーバは、ネットワーク上に設置されたサーバ上に、様々な星雲、星団はじめ天体の画像をアーカイブし、自在に表示可能とさせるサーバシステムである。デジタルプラネタリウムと統合されたメガスター上映施設で、星空に重ねてさまざまな天体をリアルに表示できるほか、メガスターオンライン(※1)等のヴァーチャルプラネタリウムでも同じデータが表示される。さらにユーザによる画像投稿機能を備えており、研究機関からアマチュア天文家まで、あらゆる立場の提供者から提供された画像を使用できる。たとえば、昨晩撮影された最新の天体画像を、学習投影で活用する、などといったことができる。データフォーマットは、天体画像用として共通のFITSフォーマットを採用した上、これをプラネタリウム用に拡張したカラー画像表示可能な拡張FITS形式をJAXAと共同の研究チームで策定した。専用の投稿アプリケーションも公開予定だ。
メガスターオンラインでの天体画像表示(開発中画面)
複数の画像から好みの画像を選択

両技術は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)オープンラボ支援のもと、JAXA、大平技研が中心となった研究チームにより開発された。また実証テストは、坂戸市とのドーム利用協定のもと、坂戸児童センターのプラネタリウムドーム(埼玉県坂戸市)を利用して行われた。

※1)メガスターオンライン:Webサイト上で星空をヴァーチャル体験できるオンラインサービス。マイクロソフトのWPF技術を採用し、専用アプリケーションを用いずに、Webブラウザから直接、3D表示による美しい星空や天文現象を体験できる。本物の星空の観測ナビゲーションと、メガスターの星空の疑似体験という2つの顔を併せ持つ。