プラネタリウムスピリット(7)


戦うべき相手は誰?
ジョージブッシュは声高にテロ撲滅を叫ぶけど、違うよ。戦うべき敵はもちろんイスラムやアラブではない。けれども、テロリストでもない。本当に戦うべき相手はテロリストを生んだ構造なんだよ。科学技術を追求して豊かさを謳歌してきた米国はじめとした我々が、犠牲にしてきたもの。足蹴にしてきたもの。我々が繁栄を享受した陰で、世界のどこかで常に誰かが貧しさにあえいできた。先進国が繁栄を築いてきた中で、そして我々が無上と信じてきたグローバリゼーションを世界に押し広げる中で、大きな軋み音が世界のそこかしこで鳴り響いていた。我々はほとんど意識せずにいたけれど、その実ちゃんと気づいていたはずじゃないか。ただ目を背けてきただけだった。

そうした矛盾が今回、ある沸点に達し、あの凄惨なテロという形で噴出した。テロリストは憎き犯罪者だよ。けれどもテロリストを力で撲滅しても何の解決にもならない。ましてビンラーデンを捕まえても。それは対症療法に過ぎない。アメリカの人も分かっていると信じたい。けれども武力行使をもろ手を上げて賛成するのを見ると不安になる。怒りは分かる。でもそれはお互い様なんだよ。きみたち、分かってる?

人心の荒廃や無力感、環境問題、そして今回の事件。これらすべてが物質文明が包含する大きな病理につながっている。我々はその本質と粘り強く向き合い、戦っていかなければならない。それは武力による戦争ではない。この戦いにはミサイルも戦車もいらない。それこそが、21世紀の新しい戦いの真の姿だと思う。長い時間がかかるだろうが、我々は文明社会の是非をかけて、一人一人が、立ち向かっていかなければならないんだよ。

2001年9月23日