プラネタリウムスピリット(8)


幸福方程式
人生の悩み、疑問に応える真理とは何か?物質的な豊かさに囲まれながら何故幸せを満喫できないのか??日本が依然として世界有数の経済大国であり、衣食住の満足を当然とし、贅沢な暮らしをしているにもかかわらず、景気低迷といわれ世相がこうも暗いのは何故なのか?かと思えば、我々よりはるかに貧しいはずの発展途上国や辺境に住む人々の表情がああも生き生きしているのは何故なのか?それは有史以来の永遠の謎であった。しかし私は長年の研究の末、その問いに明解な解を与える超理論を完成したのだ。その名も

「大平の幸福方程式」

人が何をもって幸せを感じるかという根源的な問いに答える簡潔明瞭な理論である。今ここに発表しよう。

大平の幸福方程式
基本理論は「幸福とは正ポテンシャルの微分×負ポテンシャルの積分である」。という大原則から導かれる。

Pとはポテンシャルであり、その人の地位や収入、住んでいる家の総坪数、彼女(彼氏)の有無その他といったその人の物理的な位置付けを数値化したパラメータのことである。αは不幸積分係数、βは幸福微分係数と呼ばれ(というか勝手にそう呼ぶ)、いずれも個人差で決まる定数もしくは変数である。 この理論は、人が感じる幸福感が物理的な豊かさに比例するものでない事を示している。そして、むしろ幸福感とはその絶対値ではなく、その変化率によって決まるのが、この式の示すところである。

おっと、数学が苦手な人、ページを閉じるのをちょっと待った!

分かりやすく説明しよう。たとえば年収200万円の人が、ある時突然、年収1000万円になったらどうだろうか?さぞかし強い幸福感を味わうに違いない。しかしそれからしばらくすると彼もしくは彼女はいつのまにかその年収と豊かさに慣れてしまい、いつしかそれを普通と感じ、幸福と感じなくなってしまうのだ。ポテンシャルが上がったはずなのに、幸福度は元と変わらなくなってしまうのである。彼(彼女)がいつ、何故幸福を感じたのか?それは年収そのものでなく、年収が上昇する過程にこそ幸福を実感したのである。それも、10年かけてじわじわ年収アップするより、1年でアップするほうがより一層幸福度は強くなる。すなわち年収の上昇率=微分こそが幸福度の源泉なのである。ニュース報道ではGDPの絶対値よりもその成長率が主に取り上げられることは、その如実な一例である。成長率とはまさにここでいうポテンシャル(GDP)の微分にほかならない。また、人の幸福、不幸を決定づけるのは複数のパラメータであるから、実際は偏微分で記述されることは当然のことである。

同様に、不幸についてもいえる。ひとたび年収1000万円になってからまた年収200万円に減ったらどうだろう?彼もしくは彼女はやりきれない思いでいっぱいに違いない。考えてみれば、元に戻ったに過ぎないのに、一度年収1000万円の暮らしになれてしまったがために感じる不幸なのでである。しかしこれもまた暫く経つと、やがて慣れてしまうものだ。幸福と不幸はいずれも表裏一体であり、いずれもポテンシャルの微分により決定される。このことを頭に叩き込んでいただきたい。

さて、ここまでで微分が幸福感の源泉であることでは理解されたが、積分項の意味するところは何だろうか?これは、幸福度が、単なる変化率だけでなく、過去の長期における彼もしくは彼女のポテンシャルによっても大きく影響を受けることを意味するものである。

たとえば、彼女いない歴1ヶ月の男と、彼女いない歴30年の男を挙げよう。いまふたりに同じような彼女ができたとしても、二人の感じる幸福度は大きく異なるに違いない。懸命な読者の方は既にお分かりであろう。彼女いない歴30年の男の方が遥かに強い感激を味わうのは火を見るより明らかである。これは彼女がいないという不幸な状態が長く続いたこと=不幸の積分値が、幸福度を大きく左右する→係数となることを物語っている一例である。

いかがであろうか。人生の疑問に応える超理論。世界をとりまく幸不幸を包括的かつ明解に説明する幸福方程式。これさえ理解すれば、人生の荒波など恐れるに足らず。この理論を胸に携え強く生きて行こうではないか!!私はこの一大理論をさらに磨き上げ、特設ページを設けて近く大々的に発表する予定である。(ていうか、プラネタリウム関係なくてすみません)

2002年6月6日